慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

浅草キッドさんとM−1グランプリについて

 慶應通信で一番有名なOBは、おそらく浅草キッドさんでしょう。10年前の入学式、嵐のように現れて、ひっそりと去っていかれました。今後あと10年は通信生のネタにされ続けることでしょう。
 ところで、浅草キッドさんと同じオフィス北野に所属する芸人さんの一人に、サンキュータツオさんという方がいます。同じカタカナ名前のハローケイスケさんとは別人です。サンキュータツオさん(以下、タツオさん)です。今知ったことなんですが、タツオさんは早稲田大学を卒業した後、早稲田大学大学院を経て、現在は一橋大学の非常勤講師をなさっています。芸人でありながら大学非常勤講師、おそらく日本一の高学歴芸人です。浅草キッドさんはタツオさんに家庭教師になってもらえばよかったのにと思います。
 タツオさんの専攻は言語学です。ホームページでM−1グランプリの考察を言語学を用いて分析していました。これまでは普通に漫才を見て笑うだけですが、芸人さんは色々考えてネタを作っているんだなと思いました。また、「漫才」と「コント」が別物であることを知りました。漫才というのは、話芸を用いて客を笑わせるもの。コントは別のキャラクターになりきって演じるものだそうです。また、漫才とコントが融合した「漫才コント」というものがあることも知りました。
 優勝者のスタイルには変遷があり、アンタッチャブル(4回優勝)は漫才コントであったが、ブラックマヨネーズ(5回優勝)とチュートリアル(6回優勝)の二組は基本的なしゃべくり漫才であった。しかし、サンドウィッチマン(7回優勝)が再び漫才コントへとスタイルを戻してしまったと書かれていた。ふぅん、そうだったのか。


 でも、これとはまた別の見方ができそうな気がする。私がM−1グランプリを見るようになったのは、サンドウィッチマンが優勝したときからだと思う。その後はNONSTYLEパンクブーブーが優勝したが、審査員の総意(合計点数)は私の考えと同じであった。この3人のコント漫才には共通点があります。それは、彼らのコント漫才は、最初から最後までが一つの物語になっているということです。仮に「ストーリー型」とします。逆に、優勝できなかったコンビは、似たボケを反復する「繰り返し型」のコント漫才、もしくは漫才です。M−1のネタは大きく2種類にわかれます。
http://www.veoh.com/collection/M-1/watch/v1702593P7A85yTX
 2007年のサンドウィッチマンですが、間違った注文のピザが宅配されてから、クレームに店長が答えるまでが一つのストーリーになっています。
http://www.dailymotion.com/video/xbk9ra_m1-non-style_lifestyle
 NONSTYLEコント漫才も同じように、お化けの出る洋館に入ってから、そこから逃げ出すまでの一連の物語になっています。3つのうちで一番完成度が高いと思います。
http://www.dailymotion.com/video/xcmkfe_m12009_fun
 昨年優勝のパンクブーブーです。このコントも同じ感じです。


 では繰り返し型の漫才にはどのようなものがあったかというと、
http://www.dailymotion.com/playlist/x19lqn_manjyai_m-1yyyyy2007#videoId=xck3c6
 キングコング、繰り返し型の典型的なスタイル。
http://www.dailymotion.com/playlist/x19lqn_manjyai_m-1yyyyy2007#videoId=xck3d8
 笑い飯も同じ感じ。これは2007年のネタですが、2009年の鳥人なども同じパターンです。鳥人は100点満点でしたが、このパターンは繰り返しが何度も続くと、途中でマンネリ(飽き)が出てきがちです。
 その反面、ストーリー型の漫才コントは、一つ前のボケとは異なるかたちのボケが続いていきます。そのため、次ボケがどのようなものであるか、客にとって予測不可能です。それだけに、客は、漫才コントの世界に引き込まれるようになります。
 これが、繰り返し型の漫才よりも高く評価された理由ではないかと思います。