慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

卒論はじめの一歩(2)

 最近私がとても驚いていることの一つに、Wコロンのねづっちさんがブームになっていることがあります。私はブームが起きる前からWコロンのことを知っていました。と書くとお笑いマニアか、と思われそうなんですけど、お笑い好きレベルは一般人レベルだと思います。
 どうして知っていたかというと、3年前、インターネットでMEGWIN(本名:関根)さんという芸人さんがインターネットでブームになりました。関根さんの代表作である、サザエさんのOPを実写で再現した「セキネさん」が多くの人々にうけ、瞬く間に関根さんはインターネット上で有名人となりました。関根さんは今もひっそりと活動を続けています。 で、その関根さんとWコロンが一緒にライブをしたことがあったため、Wコロンの名前を知っていたのです。でも、あの頃はWコロンよりも関根さんの方が有名になると思っていました。頑張れ関根さん。
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3.<統計データ>→<主張>ではなく、<主張>→<統計データ>の順番で考える
 で、どうしてWコロン名前を出したか、というとなぞかけと論文の書きかたには共通点があるからです。
 ねづっちさんは、振られたお題に対してすばやく答える即興なぞかけが得意です。例えば番組で「サッカーWカップ」というお題が振られたとき、ねづっちさんはこのように答えました。
 「サッカーWカップとかけまして、掃除をしていない部屋と解く、そのこころは、どちらも“ほこり”がかかっています」
 では、どうしてねづっちさんはこのように見事に答えることができたか、というと、ねづっちさんは頭の中で、「掃除をしていない部屋」よりも先に「“ほこり”がかかっている」という言葉を連想しています。そして次に“ほこり”がかかっているものには一体何があるかを連想し、「掃除をしていない部屋」を導いています。
 ここで、「Wカップ」をA、「掃除をしていない部屋」をB、「ほこりがかかっている」をCとしたとき、一般の人は「A→B→C」の順で考えようとします。しかし、ねづっちさんは「A→C→B」の順番で考えているのです。ねづっちさんの考え方は「連想ゲーム」と同じです。「Wカップ」と「掃除をしていない部屋」という2つの言葉から共通点を導き出そうとはしていないのです。


 論文を書くときには、このなぞかけの方法を知っていると、スムーズに行く場合が多いです。
 さて、経済学部や文学部で心理学や社会学を専攻している場合、卒論では自分の主張を裏付けるための道具として、統計などのデータを用います。特に経済学部の場合、統計データが手元にないと卒論が激しく停滞します。逆に、データが手元に揃っているとわりかしスムーズに卒論を書くことができると言えます。ですが、まだレポートを書きなれていない方は、データの使い方を誤ってしまいがちです。
 論文を書く際、多くの人は自分の興味・関心のあることについて書きます。通信生ならば、誰もが「卒論は〜について書きたいなぁ」と思っているはずです。ここで、興味・関心の対象をAとします。
 次に、論文を書くためには興味・関心のあることに対する統計データを用意しなくてはなりません。その統計データをBとします。
 最後に、論文は明らかにしたいことや主張したいことが必ずあります。主張がなかったり、何も明らかになっていないものは論文であるとは言えません。明らかにしたいことや主張したいことをCとします。
 ここで、レポートに慣れていない人は「A→B→C」という順番で卒論を進めていくと思います。つまり、データ(B)を分析して、そこから主張(C)を導こうとするのではないかと思います。
 しかし卒論は「A→C→B」の順番ですすめた方が書きやすいです。まずデータを分析する前に、何を主張するか、もしくは明らかにしたいことを定めます。そうした上で、手元のデータを自分の主張にとって都合のいいように編集するんです。
 例えば、私がサッカーに関心があったとします(A)。そして「何となく、選手生命の長い人は、ある一定以上の活躍をしている。その後は成績を落とすことがあっても、その選手はフィールドに残り続けているよね」ということをポワーンと頭の中で思い浮かべます。そして「1年目で好成績(得点+アシスト)を残せば、2年目以降の成績が振るわずとも、ピッチに残り続けることが出来る」という主張(C)を行います。
 そして、その主張を裏付けるために、統計データ(B)を自分の都合のいいように編集します。ここで編集の対象である「選手生命が長い」というのは何年からのことを言うか。そして、「好成績」というのは何点からを意味するか、こうした基準が何であるかによって、同じデータでも違った形で現れます。
 この基準は、一番自分の主張に都合の良くなる数字を選べばOKでしょう。


 このように、まずは主張を定め、その後データを自分の主張に都合がいいように編集すればいいのだと考えると、比較的スムーズに卒論が書けると思います。ここで改めて、統計の際に役立つ文献を紹介します。

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

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社会調査法入門 (有斐閣ブックス)

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