慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

文章の膨らませ方(2)

 「レポートの膨らませ方(1)」の続きです。実際にレポートを膨らましてみます。ここでは「西洋哲学史2」を例にとります。過去の記事にリンクを張りましたが、今ならもっと上手に書けるはずだと思っています。ちょこっと訂正したのを下に載せます。

 ヘーゲルが真理をどのようなものとして捉えたか、という本題に進む前に、この章ではヘーゲルの哲学を最も特徴付ける弁証法について説明を行いたい。というのも、弁証法という思想の中にヘーゲルが考えた真理のあり様やその働きが現れているからである。では、弁証法とは一体いかなる思想なのであろうか。
 ヘーゲルによると、この世のあらゆるものは運動し、低次なものからより高次なものへと発展していくという。その例として彼は社会や歴史などを取り上げて論じているが、その発展には「正」「反」「合」という三つの段階が存在しており、その段階を経て起こる発展や進歩を把握するための概念を弁証法という。
 その三つの段階のうち、その第一段階は「正」であり、「命題(テーゼ)」とも呼ばれる。これは、政治や社会が安定している状態を指す。しかしこの「正」の状態は安定してはいるものの、内部に矛盾を含んでおり、それがまだ表面化していない状態でもある。
 続いて第二段階は「反」であり、「反命題(アンチテーゼ)」とも呼ばれる。これは「正」の状態の中に存在していた矛盾が増大し、表面化した状態を指す。これまでの安定が崩れ、「正」と「反」の状態がせめぎあい、そして「正」であることが否定される。
 そのせめぎあいの結果、両者の間に存在していた矛盾が克服されるが、この状態を「止揚アウフヘーベン)」と呼ぶ。このとき、前段階の「正」と「反」は否定され、この両者を乗り越えた新しい段階(第三段階)の状態を「合」または「総合命題(ジンテーゼ)」と言う。この止揚は、革命という形で歴史上に現れる。
 なお、このとき前二者はともに否定されているものの、そのすべての要素が否定されているわけではなく、「合」に至っても前段階の要素は部分的に保有されている。このように、自らの内にある矛盾を根源にして、社会上のあらゆるものは発展していくとヘーゲルは考えた。

 以上が弁証法なんですけれども、中には高校倫理で習った方もおられると思います。「正」「反」「合」の3つからなるものです。これは、ヘーゲルの思想を説明する上では欠かせません。課題は「へーゲルは真理をどうとらえたか」ですが、真理がこの弁証法という活動の源なんです。
 で、「大きいが曖昧なこと」→「小さいが詳しいこと」なんですが、上を見てくださると、一つの段落に「大」→「小」の順で入れています。
 ただ、常に「大」→「小」というわけではなくて、段落の最後には「では、弁証法とはいかなる思想なのであろうか。」というように、次の段落への橋渡しを行う言葉をつけたり、「このように、自らの内にある矛盾を根源にして、社会上のあらゆるものは発展していくとヘーゲルは考えた。」のように、これまで記述してきたことを、再び大きくまとめる文を書いたりしています。