慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

提案型論文→分析型論文

 「@卒業論文」というサイトに、こんな論文が載っていました。

□タイトル
那覇上海航空路開設に伴う経済効果に関する考察」(京都大学:経済学部)
□概要
 地理的・歴史的背景を考えれば、経済的自立こそが沖縄の明るい未来を約束し、それを推進する事が、沖縄自身は元より、周辺諸国及び日本にとっても望ましい事であると確信する。
 この論文は、経済的効果及び実現可能性の高い政策を具体的に提案する事により、沖縄の経済的自立に向けての一助とすべく執筆された。いわば、これから続く一連の沖縄自立政策の第一歩として記されたものである。
□特徴・オリジナリティ
提案内容が極めて現状に即しており、政策担当者の決断次第で比較的容易に実現可能な点が特徴である。
(ttp://www.mycon10ts.com/weeklycheck04.htm)

 こうした提案型の論文は非常に危ないです。「特徴・オリジナリティ」のところに、「政策担当者の決断次第で比較的容易に実現可能な点が特徴である。」とありますが、那覇−上海間空路の開設は、プロジェクトXなみに困難なことです。長い間那覇と上海は結ばれていなかったのですから。
 「提案内容が極めて現状に即して」いるかどうかは、論文を見ていないのでわかりませんが、「政策担当者」とじかに話し合って、お墨付きを貰って初めて言えることだと思います。そうでない場合、下手をすると、机上の空論にとどまる惧れがあります。ですので、卒論のテーマとして、どうして那覇−上海間空路が長らく開設されなかったのか、その理由一つに焦点を絞って考察したほうが良かったのではないかと私は思います。
 でも一般の大学の場合、仕方ないと思います。就活で卒論にかけられる時間は殆どありません。勉強もアルバイトに時間をとられて、なかなかできません。私の卒論も酷いです。論点がありませんでした。
 ただ、一橋大学社会学部、加藤哲郎ゼミナールの「〜さらば、愛しき娘。たちよ〜」は、ある意味伝説だと思います。(ttp://members.jcom.home.ne.jp/katoa/04maeda.htm)