慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

過去問(社会学)

 科目試験の中では、社会学は少し難しい部類に入る思われます。しかし、この社会学、考える力を養うという点においては、最高の課題であると思っています。持ち込み可ですが、自分で考えて答えを編み出さなくてはならず、ただ単に内容を写すというだけでは合格はもらえません。社会学は2009年から新傾向です。

社会学(C群):2009年】
次の事項のうち一つを選び、テキストと関連付けて論じてください。ただしテキストは全体ではなく、目次にある小見出し部分(たとえば最初の小見出しは「社会学的見地の展開」です。ただし「結び」は除く)を一つ選んでください(つまり選択された小見出し部分の資格から事項を説明する)。選択された事項と小見出しは答案の冒頭に明記してください。
(第1回)
金融危機、出会い系サイト、義務教育、遺伝子治療
(第2回)
非正規雇用労働者、無差別殺人、総選挙、ブログ
(第3回)
振り込め詐欺シャッター商店街外国人労働者、お笑い芸人
(第4回)
・地上波デジタル化、風俗産業、結婚難民、イスラム原理主義

 さて、この問に対して、どのように答えるか。ここでは、「振り込め詐欺」「出会い系サイト」「シャッター街」「お笑い芸人」の3つに関して書いていきたいと思います。ギデンズの文献が手元にないため、的を射ない内容になりますが、その点ご了承ください。
 まず、「振り込め詐欺」と「出会い系サイト」に関してですが、「デジタル・デバイド(digital divide)」という言葉と関連付けて論じることができないかと思います。「デジタル・デバイド」というのは、年齢(世代)や地域(都市・田舎)、所得格差によって生まれる、情報機器を使う能力の格差を意味します。すごく簡単に言うと、年配の人は情報機器(携帯電話やパソコン)に疎い傾向が強く、若い世代ほど情報機器に詳しい、というのがそれです。振り込め詐欺は、主に老人ややや高齢の主婦層をターゲットとするものです。機械には強くないため、電話がくると、「言ってることに従えば、どうにかなる」と思って、振り込んでしまう方が多いと思います。
 逆に「出会い系サイト」は女子中高生を中心とするものですが、今の世代は中学生から携帯電話を持っています。ウェブやメールの知識を持っているため、出会い系などには容易にアクセスできます。10代の大学生は、携帯電話でレポートを提出するそうです。私には無理です。
 また「出会い系サイト」というのは、ゲマインシャフトゲゼルシャフトの関連で述べることができると思います。これは、F.テンニースという人が提唱した言葉で、ゲマインシャフト=人間に本来備わる本質意志によって結合した、実在的・有機体的統一体としての社会です。日本語では「共同社会」「共同態」などと訳されます。
 一方ゲゼルシャフトは、人間がある目的達成のため作為的に形成した、観念的・機械的組織体としての社会です。日本語では「利益社会」「集列態」な どと訳されます。
 学校という場所は、本来的に、学び、社会に出るための力を養うというゲゼルシャフトに属する団体です。日本では明治時代に富国強兵の一貫として学制が敷かれました。しかし、クラスメイトとおしゃべりして仲良くなるという、ゲマインシャフト的な要素を持っています。クラブ活動がその代表的な例です。というか、どんな集団もゲマインかゲゼルかにばっさり分けることは不可能で、たいていはどっちの要素も持っていますが、たいていはどちらかの方が片方の要素が強かったりします。
 また会社も同じで、利益を追求するのが主ですが、やはりサークル活動も存在しています。学校という社会で生活すると、やはり気の合わない同級生というのが出てきます。そうした生徒と、毎日同じ教室で勉強すると、気疲れがしてきます。 そこで、そこからの解放される手段として携帯電話が登場します。そこで、生徒は携帯電話を使って、気の合う友人を作ろうとします。つまり、ゲマインシャフトの拡張です。そこで需要があったのが出会い系サイトです。ちなみに「出会い系」世代はもう30代になりましたが、今では、中高生の間でモバゲータウンというのが人気です。
 次に「シャッター街」ですが、これは、おそらく『社会学』に、「モータリゼーション」と郊外化に関する項目があったと思います。3年くらい読んでいないので忘れてしまいましたが、都市郊外はモータリゼーションの進展とともに、ロードサイドショップというのが作られるようになりました。それに伴い、都市中心部の商店街は客足が遠のいて、シャッター街が生まれました。
 最後に「お笑い芸人」ですが、テレビの役割に着目すると、なんとか書けると思います。
 昔は、ドリフターズ吉本新喜劇を見る家庭が多く、そういったのが話題の中心となり人々を結びつけていました。しかし今ではネットの普及に伴い、お笑い芸人がもたらす話題の中心性がうすれました。それとともに、芸人も多様化し、マニアックなのが多数登場することとなりました。そんな感じで書けばいいです。