慶應通信! r.saitoの研究室

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社会構築主義(2)

社会問題の社会学―構築主義アプローチの新展開 (SEKAISHISO SEMINAR)

社会問題の社会学―構築主義アプローチの新展開 (SEKAISHISO SEMINAR)

 社会構築主義を理解する上で重要なキーワードに「クレイム申し立て」というものがあります。クレイム申し立て、というのは、簡単に言うと問題提起です。その問題が存在してもしなくても、クレイム申し立てはテレビや雑誌などのメディアから見ることができます。
 社会構築アプローチでは、このクレイム申し立てがいかにして行われてきたかについて着目します。

 本書によると、このような分析は対象の範囲の絞り方によって、ほぼ四つの水準に分類できるという(40-43ページ)。
 第一のものは「社会問題をめぐるトークの研究」である。社会問題のクレイム申し立てが成立するさいの相互作用場面の研究である。世間話からテレビ討論や審問などのそれぞれの場面での語りを言説分析ないし会話分析するものである。
 第二は「エスノグラフィー的な研究」で、フィールドワークによって司法・医療・警察・福祉・運動組織などの現場で社会問題の発見・探索・解決のプロセスを記述するというものである。
 第三は「特定の問題とその解決をめぐる複数の場面を横断する問題過程」の研究で、インタビューやドキュメントやメディア上の言説を素材にして問題過程を「一続きの糸」として全体的に描くものである。
 第四の「人びとの定義と分類の歴史」の研究は、より大きなタイムスパンをとって社会問題のカテゴリーの変遷を調べるというものである。
ソキウス 書評『社会問題の社会学』(http://www.socius.jp/theory/review01.html

 この中でやりやすいのが、第一のものだと思われます。ある事柄がどうして「問題」とされたのか、それを浮き彫りにするだけでも論文として価値のあるものができるでしょう。ここには「世間話からテレビ討論や審問」と書かれていますが、雑誌や本、ウェブでも充分です。テレビ討論は、資料の入手がかなり大変だと思います。数種類の雑誌(週刊誌)や新聞を横断的に分析するといいかもしれません。こうした研究をする上で重要なのが、会話分析やエスノグラフィー。基本書に目を通すとよいでしょう。