慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

卒論の手順…批判

(3)筆者の主張に対して切り込み口を見つける
 ただ先行文献を理解するだけでは卒論にはなりません。卒論がどのようなものかと言いますと、このようになっています。

1.先行文献について、明らかにされ尽くしていないこと、納得いかないこと、反発したいことなどを発掘する。そして、それを疑問の形で提議する。

2.それに対して自分なりの答えを主張する。

3.自分の答えが正しいことを、さまざまな文献を用いて証明する。

 例えば、過去の偉人の議論に対して、「これって、本当なのかな?」、「言ってることはわかるけど、説明が不十分ではないかな?」、「いや、自分はそうは思わない」、「昔はそうだったかもしれないけど、今は違うよね」、「今は昔とでは時代が全く違っているけれど、昔の主張が(部分的にもしくは全体的に)今でも通用する」…そういったことが見つかれば、卒論はほぼ完成です。
好ましくないことは、誰もがやりがちなことなんですが、自分がたんに調べたこと、勉強したことを書くことです。もちろん、いろんな文献を調べることは大事です。でも、「疑問→答え」という核のない論文は支離滅裂なものになってしまいます。疑問を見つけて、それに答える、という作業をしないと、卒業できないか、修業年数ギリギリの卒業になってしまいます。
学業は、もちろん努力も大切ですが、それと同じくらいにセンスも大切です。いろんな論文を読んで、良い論文の特徴はなにかを追求することで、センスが磨かれるのではないかと思っています。