慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

19世紀・20世紀のフランス文学(1)

この間お亡くなりになったつかこうへい氏、文学部の出身なんですね。
名前だけは知っていましたが、詳しいことは知りませんでした。
名前がひらがななので、いとうせいこう氏とごっちゃになってました。
今日は彼が専攻していたフランス文学について書きます。
フランス文学は、穴場科目です。
以下は、私が湘南慶友会関連に送ったものの抜粋です。
決してブログを手抜きしているのではありません(笑)。
ただ『論文の教室』の分析には時間がかかるので、それは延期します。


1.十九世紀のフランス文学

19世紀のフランス文学1ですが、実は凄く適当に書いたんですが、
レポートの採点がCだったので、結構易しい科目なのではないかと思います。
私は、スタンダール赤と黒』について書きました。
これは、ジュリアン・ソレルという若者の立身出世の物語です。
この物語は上下2巻で、小説が好きでないと読みきれない小説だと思います。
私は小説を読む習慣が無いので、少し苦労しました。


で、どのようにしてレポートを書いたかというと、
イーストプレスという出版社から「まんがで読破」というシリーズが出ています。
赤と黒がすごく分かりやすく漫画化されていました。
http://www.eastpress.co.jp/manga/
それを読んで、大まかな主人公ジュリアンの素性をつかみ、
マンガに描かれているシーンのみを小説から探して読みました。
そこで、小説に表れているジュリアンの性質を以下の3点にまとめて、レポートにしました。
一つ目が、英雄ナポレオンに対してジュリアンがどう思っていたかについて。
二つ目が、ジュリアンの知性と精神力に関して。
三つ目が、ジュリアンにとって愛とは何なのか。


ところが、レポートはCで返却されました。
その後講評欄を見てわかったのですが、
このレポートは、主人公の性格について「論じる」ことが求められているものでした。
そのためスタンダールの研究書をいくつか複数読み、そこで行われている議論をもとに、
論文を書いていく必要があったのです。
参考文献は、小説だけでもCは取れますが、B以上取るとなると他の本も必要です。
以上が19世紀のフランス文学1の、私の感想です。(一部訂正)

2.二十世紀のフランス文学

私は「理性への懐疑」に関して書きました。
判事はムルソーを裁く際、母の葬儀においてのムルソーの態度に言及し、そこから冷酷な人間であると印象付けた。
しかし、それは誤った考えである。
現代、我々が直面する問題には、因果関係の無いものが存在する。
例えば、理由無き犯罪がそれに当てはまるが、現代の人々は、そうした事件などに関して、
何らかの因果関係を見出せないと、それを「気持ち悪いもの」と考え、
無理やりにその因果関係を明らかにしようとする。
ムルソーの場合、アラビア人を殺害した理由は、悪運だったかもしれないにも関わらず、
判事は、ムルソーの行為を明らかにしようとしたため、「歪んだ理性」をそこに持ち込んだ。
その結果、不幸にもムルソーは死刑を自ら選んでしまう。
19世紀初頭から半ばにかけて、ナチスドイツの一連の行為が、その「歪んだ理性」の最たるものであると考えられる。
フランクフルト学派アドルノとホルクハイマーは、『啓蒙の弁証法』によってユダヤ虐殺を、
行過ぎた理性が生み出した暴力であると考えたが、
『異邦人』においても、そうした暴力が描かれているのではないかと思いました。
こんな感じです。

3.十九世紀のフランス文学

解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の偶然の出会いを美しいと思う方だけが、この課題に耐えうる事ができると思います。
私には無理だと思いました。



私はフランスには行ったことがありません。
どんな国なんでしょうか、一度は行ってみたいと思っています。