慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

慶應通信への入学準備(1)

 近々、慶應義塾大学通信教育課程の願書受付が始まります。受付期間は8月10日〜9月10日です。願書を書くのには時間がかかります。志望動機、書評、自己PR、この3つの構想をしっかり練りましょう。
 「まだ書いてない」という方は、そろそろ準備を始めておくと良いでしょう。志望動機・書評は700字程度ですが、決して簡単に書けるものではありません。
 慶應通信は10年〜5年前までは、願書さえ送りさえすれば合格通知が届くという、非常にハードルの低いものでした。しかし最近は、そのハードルが次第に上がってきており、それに伴って不合格者も増えてきています。私が出会った通信生の中には「1度目はダメだったけど、2回目で合格通知が出た」という方が2人います。
 アトランさんという方のサイトによると、1994年の入学生は4430人いました。
しかし、2000年前後から2300人程度になり、2005年には1300人と、その数がだんだんと減ってきています。1994年と2005年を比較すると、入学生は3分の1以下になっています(http://www.eonet.ne.jp/~atlan/newpage04.html)。
 このように不合格者が出るようになったのは、通信生が大量にいたために、膨大な数のレポートが捌けきれなくなり、そのことによるレポート返却の遅れが訴訟までに発展したことが理由だと考えられます。これは根拠のない私の推測ですが、おそらく受験生の半分は願書で落ちています。なので、願書を書くにも、しっかりとした対策を行う必要があると言えます。
 そこで、どのように願書を書けばいいかについて、これから何度かに分けて書いていきます。


1.志望動機
 志望動機ですが、必ず押さえておきたい点があります。それは「自分の経験」です。これまでの人生で、自分が経験したことです。社会人の方は、これまで行なってきた仕事や生活経験で、疑問に思ったことを書くと良いでしょう。
学士入学は、前に在籍していた大学で学んだことを発展、もしくはスピンオフした内容を書けば有利です。
 普通入学は、経験が無いからって心配する必要はないです。ニュースや新聞などで疑問に感じたことに関する文献を読んで、テーマを搾り出しましょう。社会はたくさんの問題で溢れています。慶應通信を受講する人には、「自分は一体何が勉強したいのか」ということが分からない人はいないはずです。
ただ、そのときはインターネットだけで志望動機を書かないように。きちんと本を読みましょう。
 下に例文を載せます。急いで考えましたが、こんな感じで充分合格はもらえます。

 私は文学部1類への学士入学を希望し、教育学、とりわけ教育社会学を学びたいと考えている。私が過去に在籍していた大学では、主に政治について学び、卒業論文では韓国での選挙や政治の場において、インターネットがどのような役割を果たしたかについて考察を行った。韓国では一般市民によるインターネットを介しての政治討論が盛んで、例えば五年前の大統領選挙では、一市民のホームページを使った盧武鉉への投票の呼びかけが全国に広まったことで彼は当選したのであるが、そこでインターネットが社会に与えた影響は計り知れないほど大きく、それは政治だけではなく、旧来の社会や教育のあり方を大きく変容させる力を持っているということを知った。
 そこで今後、そのインターネットが教育の場において、どのような影響を与えているのかということについて考察したいと思っている。現在、インターネットの持っている利便性から、E−ラーニングの重要性が強調されるその一方で、出会い系サイトや、最近話題になっている「学校裏サイト」によって起こるいじめなど、それがもたらした負の部分の危険性も指摘されている。私はこれらのサイトに関心があり、それが引き起こす問題は携帯電話の中高生への普及や多機能化に伴い、今後一層複雑化すると考えられる。
 この通信課程では、このような問題に対し、その実情を調べ、背後にどのようなメカニズムが働いているか、ということを考えたいと思っている。私はここでの教職免許の取得を目指しており、そのため上で述べたことについての知識を深めることは、今後の私の社会生活において重要であり、この通信教育で得た知識を職について生かしてゆけたらと考えている。



 まず最初に、何を学びたいかについて簡潔に書きます。

 私は文学部1類への学士入学を希望し、教育学、とりわけ教育社会学を学びたいと考えている。

 ここで押さえておきたいのは、単に「文学を学びたい」「経済学を学びたい」だけでは不十分だということです。この記事では教育学を例にとっていますが、一口に教育学といっても、それは様々です。
 教育方法学、教育哲学、教育史学、教育人間学、教育思想、教育社会学、比較教育学、国際教育学、教育法学、教育制度論、教育行政学、教育経済学、教育財政論、教育人類学、生涯学習論、教授学、教材論、教育心理学、教育課程論、教育評価論、教育工学、教育メディア学、教育情報学……。
 教育学だけではなく、学問は単独で存在しているのではなく、歴史学や哲学、工学、社会学など、他のカテゴリーと関わりながら存在しているのだということを押さえておきましょう。
 次に過去の経験を書きます。学士を想定して書いたので、過去に自分が学んだ事に関する経験を書きました。過去の経験から、「知ったこと、知って驚いたこと」「納得いかないこと、反発したいこと」あると思います。それを書けばいいんです。社会人ならば、仕事や生活において感じたことを書きましょう。

 私が過去に在籍していた大学では、主に政治について学び、卒業論文では韓国での選挙や政治の場において、インターネットがどのような役割を果たしたかについて考察を行った。韓国では一般市民によるインターネットを介しての政治討論が盛んで、例えば五年前の大統領選挙では、一市民のホームページを使った盧武鉉への投票の呼びかけが全国に広まったことで彼は当選したのであるが、そこでインターネットが社会に与えた影響は計り知れないほど大きく、それは政治だけではなく、旧来の社会や教育のあり方を大きく変容させる力を持っているということを知った。

 上では、私が調べて知ったことを書いています。このことは、本を読まない限り、知ることはできないことです。普通入学の皆さんは、安易にインターネットに頼らずに、本を手に取って、いろんなことを知ることからはじめましょう。


 次に、自分の問題関心について書きます。ここで書くべきことの一つ目は、何が問題となっているのか、その現状がどのようなものか、ということ。
 二つ目は、その現状を踏まえ、その中から一体何を調べたい(明らかにしたい)のか、ということです。

 そこで今後、そのインターネットが教育の場において、どのような影響を与えているのかということについて考察したいと思っている。現在、インターネットの持っている利便性から、E−ラーニングの重要性が強調されるその一方で、出会い系サイトや、最近話題になっている「学校裏サイト」によって起こるいじめなど、それがもたらした負の部分の危険性も指摘されている。私はこれらのサイトに関心があり、それが引き起こす問題は携帯電話の中高生への普及や多機能化に伴い、今後一層複雑化すると考えられる。
 この通信課程では、このような問題に対し、その実情を調べ、背後にどのようなメカニズムが働いているか、ということを考えたいと思っている。

 最後に、これからの展望について書きます。「学んだことを、今後の社会生活に生かしたい」みたいな事を書けばOKです。

私はここでの教職免許の取得を目指しており、そのため上で述べたことについての知識を深めることは、今後の私の社会生活において重要であり、この通信教育で得た知識を職について生かしてゆけたらと考えている。

こんな感じで書けば、合格はもらえるでしょう。次回は、書評について書きます。