慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

テキストの読み方(2)

 夏季スクーリングが始まりました。通信生にとって、今が一番楽しい時期です。私のような地方からの学生にとっては、じっくりと首都圏を観光できる時間です。勉強が大変ですが、しっかりと楽しんできてください。
 今日は、「テキストの読み方(1)」の補足を書きたいと思います。8月は、過去に書いた記事の補足を中心に書いていく予定です。ところで前回の内容は以下のものでした。今回は、その内容をさらに深めていきます。

1.3分の2のテキストを仕舞う
2.慶應のテキストが難しいなら、近い内容の易しい文献をまず読む
3.新書を読みましょう



4.読書のフローチャート
 普通入学の生徒だけではなく、学士入学の生徒にとっても、慶應通信のテキストをいきなり読むのは難しいと思います。文学部科目で比較的簡単な歴史哲学や、社会学史1・2でも、初めてテキストを読むと難しく感じるでしょう。
 では、慶應テキストを読めるようになるためにはどうすればいいか、というと、その答えは至ってシンプルで、一番簡単な文献から読み始め、少しずつ難しいのを読んでいき、読書能力をステップアップさせる、です。これに関して、前回「2.慶應のテキストが難しいなら、近い内容の易しい文献をまず読む」と書いたのですが、今回は、内容が文学部中心となってしまいますが、さらに掘り下げて説明していきたいと思います。


まず最初に2種類の文献を平行して読みます。
A.高校参考書&ナツメ社図解雑学シリーズ
一つ目は高校の参考書。詳しくは→「文学部のための万能文献」。
 そして二つ目は、ナツメ社の図解雑学シリーズです。高校参考書と並んで、一番敷居の低い文献です。

哲学 (図解雑学)

哲学 (図解雑学)

図解雑学 現代思想 (図解雑学シリーズ)

図解雑学 現代思想 (図解雑学シリーズ)

 図解雑学シリーズは、哲学だけではなくて、経済学、法律学、地理学など、たくさんの種類があります。最初に高校参考書と図解雑学シリーズを読んでおくのは、思想の流れと、その学問全体の概要を掴むためです。いきなりヘーゲルウェーバーの思想を読んでも理解できるはずがありません。
 例えばヘーゲルを例にとると、

1.まずはドイツ観念論と呼ばれるものが、一体どのようなものであるか、
2.ヘーゲルは、先輩であるカント、フィヒテシェリングから思想をどのように受け継いだのか
3.ヘーゲルはどのような思想を持っているか
4.ヘーゲルの思想を受け継いだ者に誰がいるか。その思想をどのように受け継いだか。



 始めはマクロな視点に立って、そこから次第に焦点を狭めていく。そんな感じで読んでいけばいいでしょう。


B.新書
 次に読んでいくのは、新書です。これに関しても前回さらっと読みました。ここでは、倫理学、西洋哲学史1、西洋哲学史2、歴史哲学に関する文献を拾っていきます。
Ba.倫理学
 まず、倫理学はカントについてのレポートです。カントに関しては、ちくま新書から2冊出ています。この二つのうち、どちらを読んでもいいでしょう。

カントの読み方 (ちくま新書)

カントの読み方 (ちくま新書)

カント入門 (ちくま新書)

カント入門 (ちくま新書)

 これを読んだ後、『倫理学』(小泉仰:慶應義塾大学出版会)、『入門講義 倫理学の視座』(新田孝彦:世界思想社)、『道徳の哲学者たち』(リチャード・ノーマン:ナカニシヤ出版)に進んでください。3冊もありますが、その中で読まなくてはいけないページ数は少ないです。


Bb.西洋哲学史
 この課題で、私は『ラケス』(プラトン講談社学術文庫)を選びました。この文献とあわせて読みたいのが↓です。
プラトン入門 (ちくま新書)

プラトン入門 (ちくま新書)

 その後で、『西洋哲学史〔古代・中世編〕フィロソフィアの源流と伝統』(内山勝利中川純男ミネルヴァ書房)に進みましょう。これも読むページ数は少ないです。


Bc.西洋哲学史2、歴史哲学
 ヘーゲルに関しては、↓の文献をおすすめします。
新しいヘーゲル (講談社現代新書)

新しいヘーゲル (講談社現代新書)

 この文献と平行して、テキストである『歴史哲学』(神山四郎:慶應義塾大学出版社株式会社)、『歴史哲学講義(上)』(ヘーゲル岩波文庫)、『西洋哲学史 〔近代編〕科学の形成と近代思想の展開』(宗像恵・中岡成文:ミネルヴァ書房)を読んでいけばOKです。読む本の数が多いですが、頑張ってください。次回は計画的な読書の仕方について、書く予定です。