慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

新・地理学1(2)

 前の記事に間違いがありました。課題は「トランスナショナル化する世界経済から見た日本経済について役割と問題点」です。経済産業省のデータを元に考察するのが課題です。ポイントは、以下のところです。

■アジア・オセアニア地域における地域統括拠点数は、シンガポールが最多、日本は主要国の中で最下位。
・アジア・オセアニア地域における地域統括拠点数はシンガポール307拠点、中国300拠点、香港251拠点の順となり、日本は75拠点であった。

 「地域統括拠点」というのは、外資系企業がアジアに進出する時、その活動の中心となる場です。例えば、東南アジアにはシンガポールやタイ、マレーシアやベトナムなどの国々がありますが、現地に拠点を置く場合、まず中心となる場所(ハブ)をどこか1カ所に決めて進出し、そこから複数の国へと支店を増やしていきます。例えば(どこかのウェブサイトで見たか忘れましたが)、日本の自動車企業は、産業集積の集中しているバンコクに東アジアとしての拠点を置きます。そして、バンコクで作られた車が、他の東アジアの国々へと輸出されます。また商社はシンガポール、金融は香港に集中する傾向が高いです。
 地域統括拠点には、本国より多額の資本が投入されます。そうした企業がたくさん進出する都市(=グローバル都市)は、言うまでもなく雇用が増えたりインフラが充実したりして潤います。そのため、近年では、どこの国も中心都市一局集中の傾向にあります。
 で、何が日本の課題か、というと、日本の拠点が少ないこと。日本の役割を考えた場合、それはアジア経済の主導者となることです。そのためには、地域統括拠点を香港やシンガポールから、東京や大阪、名古屋へと向けなくてはなりません。課題は、香港やシンガポールと比較して、日本には何が欠けているかを考察する必要があります。
 企業が出資先を選択する際、様々な要因があります。例えば、資金であったり、既にどれだけのインフラが都市に存在しているかということであったり、法律や会計の専門家へのアクセスの容易さであったり、自治体からのサポートであったり…そういったことを調べて、他国と日本とを比較することが重要だと私は思います。