慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

りっこ28さんの入学論文を考える(書評編)

 こんにちは。今回は前回に引き続き、りっこ28さんの入学論文について考えてみたいと思います。今回は書評についてです。どのような内容をお書きになったのかは、彼女のYouTubeチャンネルを見てください。なお、ここでは文章の全体を「書評」、「概要を簡単にまとめた」部分を「要約」、「自分の視点から詳しく論評」したものを「論評」とします。

 りっこ28さんの致命的なミスは論評ができていないことです。りっこ28さんの書評において、そのほとんどが要約、つまりは本の内容です。論評は、最後のちょっとだけしか書かれていません。それも論評というよりむしろ「感想」です。慶應通信の書評の720字のうち、半分強を要約、半分弱を論評にあてると良いと私は思っています。もっと論評に文字数を割きたいところです。

 書評について、どのように書いていけばいいのかざっくり説明すると、下記の2点です。

1.まず要約の部分について、本の中から①激しく同意、②激しく反発、③納得いかない、④目から鱗、に感じた箇所を抜き取って360字程度に収める。(書評)

 ※この①〜④は『論文の教科書』(NHKブックス)からの引用です。

2.上記の①〜④について、それがどのようなものかを360字程度で説明する。(論評)

 これが確実にできていれば、書評は合格です。

 『父が娘に語る経済の話』では、戦争下において捕虜たちは赤十字から送られてきた物資を通貨の代わりに使用しており、戦争が終わることがわかった時点でそのシステムは意味をなさなくなり、崩壊するということが書かれています。

 ※私は読んでいませんので、以下は書評から推測して書きます。

 これは捕虜だけではなく、刑務所の中でも似たやりとりがされていると聞きます。経済的な行為は現在では貨幣を介して行なっており、それが我々にとって当たり前になっています。しかし太古の昔では、経済的な活動といえば物々交換です。そして、戦争や刑務所など特殊な環境下においては、捕虜や受刑者は昔の人たちと同様に物々交換を行っており、経済というのは貨幣と財(モノやサービス)のやりとりだけではなく、財と財とのやりとりも含んでいるんだよ、とこの本に書かれているんだと思います。

 正直のところ、このことは私にとっても④目から鱗なことでした。考えてみれば、現在の経済活動って、めちゃくちゃ複雑になっています。りっこ28さんのチャンネルには25,000人を超える登録者がいますが、私の推測では月に10万程度の収入があるのではないかと思っています。YouTubeに動画を乗せることで収入が得られるというのは、多くの人が10年前は考えていなかったことだと思います。YouTuberとして一番有名なヒカキンさんは何億も稼いでいるようです。

 この他にも、10年前の人たちには想像のつかない方法でお金を稼いでいる人たちはたくさんいます。(私は詳しくないのですが)ビットコインやFXで億万長者になった人がいたりします。この他にもいろいろあると思うんですが、またさらに10年後には今からは想像のつかない方法でお金を稼いでいる人たちがいると思うんです。

 今後生活していくためには、これまでになかった経済活動の方法を模索したり、新たな経済活動がどのようなものであるかをいち早く察知して行動していかなければならなくなるでしょう。こういったことが書けていれば、合格がもらえたのかもしれません。