慶應通信! r.saitoの研究室

慶應義塾大学通信教育課程のブログです。皆さんの卒業を応援します。

政治学(3)

 以前、総合科目の政治学について書いたんですが、政治学について調べてみると、過去の記事の説明があまりにも短く、皮相的で、散漫で、具体性を欠き、卒業生としての水準を満たしていないと言われそう程に浅薄なものであることがわかったので、付け足しておきたいと思います。

政治学(1)
政治学(2)

 政党を一党制、二党制、多党制と分類したのは、モーリス・デュヴェルジェというフランスの政治学者です。前の記事は、この3つに分けて分類しました。しかし、ジョバンニ・サルトーリ(イタリア)は、政党をさらに7つに細分化しています。
1.一党制
 旧ソ連、中国、ナチス時代のドイツ。一党制は全体主義一党制、権威主義一党制、プラグマティズム一党制の三つに分類される。
2.ヘゲモニー政党制
 過去のポーランド。一つの政党を中心にして、その周辺に第二次的な小政党の存在を認める政党制。政権交代は起こりえない。
3.一党優位党制
 55年体制の日本。支配的な政党以外の政党が、合法的な競争が認められているにもかかわらず、一政党が多数派の支持を得ているため、政権交代が起こらない。
4.二党制
 イギリス、アメリカ。2つの大政党が競合しており、一方が過半数議席を取得し、単独政権を握っている。世界的に見て例外的である。
5.限定的多党制(穏健な多党制)
 ドイツ、ベルギー。政党数が3〜5で、政党間のイデオロギーの距離が比較的小さく、連合交渉がまとまりやすいため、安定した連合政権が可能。
6.多極的多党制(極端な多党制)
 ワイマール時代のドイツ、フランス第四共和政、50年前のイタリア。政党数が6〜8で、政党間のイデオロギー距離が比較的大きい。連合交渉がまとまりにくく、連合政権は不安定。過剰公約の無責任政党が生まれやすい。
7.原子化政党制
 マレーシア。特にぬきんでた政党がなく、多くの政党が乱立いる。極度の混乱期を除いてあまり存在しない。


 同じ党制でも、内情は国家によって様々です。国と国とを比較する際には、サルトーリの分類を参考にするとよいと思われます。